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2018-08-26 10:02:00

―当クラブ例会 第2277回(2018年8月21日) 会員卓話より―

 

金看板の「職業奉仕」が消えてゆく
  RIは、ロータリーを自滅に導くのか

                  紋別港RC 小野 哲君

 

 RI(国際ロータリー)は、2017年6月の理事会で「職業奉仕委員会と青少年(新世代)奉仕委員会を社会奉仕委員会に統合する」ことを決定しました。

 “えっ、嘘だろう”と思うのが当然。いつから実施されるのか、危惧されるところですが、理事会決定は最終決定。余程のことがない限り、実施されるのは間違いないと思います。

 焦点を絞って考えてみましょう。職業奉仕委員会をなくすことは、シェルドンの「He Profits Most Who Serves Best」を事実上否定することを意味します。1911年、ポートランドで開催された第2回全米ロータリー大会でロータリーのモットーとして採択されて以来、110余年に渡ってロータリーの奉仕思想の原点として、尊重されて参りました。シェルドンは、職業奉仕が全ての奉仕活動の中心にあるとし「He Profits Most Who Serves Best」、つまり「最大の奉仕に最大の利益あり」を提唱致しました。

 シェルドンは「この世界は全て、自然の法則により定められている。人の生き方も宇宙の摂理の中で定められている」と、職業奉仕を大きなくくりの中に置いています。

 

「He Profits Most Who Serves Best」
 何故、廃止の方向に向かうのか

 

 これに対して、主にイギリス、ヨーロッパのロータリアンは、シェルドンの真意をなかなか把握できず、「職業を天職としてとらえず、あくまで経営学の視野で位置づけている」などと反発。1920年頃から「He Profits…」を廃止しようとする動きが出てきました。
 1921年の第12回国際ロータリー・クラブ連合会の年次大会が、初めて米国以外のスコットランドのエジンバラで開催されました。このときシェルドンは「RotaryPhilosophy」=ロータリー哲学=と題するスピーチを行いました。シェルドンの「He Profits…」に対する風当たりの強いイギリスでのスピーチは、シェルドンにとって意味あることでした。ロータリーの奉仕の心を、これ程明快に、詳細に説明したスピーチは今までに無く、彼のスピーチは大きな成功をおさめました。しかし、イギリスを中心とするシェルドン・アレルギーは以降も続き、1923年、「Service Above Self」と「He Profits Most Who Serves Best」の二つがロータリーの奉仕理念として確定したことも、シェルドンにとっては不愉快なものでした。シェルドンの「He Profits…」は唯一無二のもので、二つのモットーは不要なのです。

 その後1929年の国際大会で、このモットー廃止の決議案が出され、結局否決されたものの、シェルドンは大いなる失望感の中で、自分の役目の終了を感じ、ロータリーを退会するのです。ロータリーに生命を吹き込み、その後100年以上に渡りロータリーが存続したのも、シェルドンの奉仕哲学がロータリー活動の中心にあったからです。

 その中心人物が、ロータリーに絶望し、退会したのは極めて残念なことで、シェルドンの悲劇とも言えるでしょう。

 

 人も、大自然の法則の中で生きる
  自己研鑽の先にある奉仕

 

 そして、それから約100年経った今日、RIが「地区から職業奉仕委員会をなくし、社会奉仕委員会に包含する」という決定をしたことは、1920年代にイギリス、ヨーロッパ、さらに日本から起きた「He Profits…」廃止の動きと同じ意味合いをもって私たちの心に響いてきます。

 シェルドンのロータリー、また人間社会に対する考え方は、奉仕こそ人生を豊かにする最重要な要素。しかもその奉仕は、自己研鑽による人間性の高まりの中から生まれるもので、自己を高め、その先に職業奉仕があることを説いています。「He Profits Most Who Serves Best」の“Serves Best”は、自己研鑽の奉仕を意味し、“Profits Most”は、世のため人のために奉仕する喜びを得ることが出来るーということです。「Profits」とは、単に商業的利益のみを表現する言葉ではなく、人もまた大自然の営みの中に在り、奉仕なき人生は空虚なものと言う、シェルドンの広範囲な思想を表現したものと思われます。

 

 大河は砂の中に消える
  真のロータリーは消滅か

 

 一世紀を越えるロータリーの歴史は、シェルドンのロータリー哲学の賜物です。その思想が、過去も、そして現在も、軽んじられているのはロータリーの自滅を招く最大の要因と思われます。RIの目的は何なのでしょう。既に昨今のRIの動き、考え方は、ポール・ハリスら初期ロータリアンが試行錯誤しながら構築したロータリーではなく、その源流は彼方にかすみ、ロータリーという大河は幾本もの流れに変わり、次第に細くなり、砂の中に消え去ろうとしています。真のロータリーはやがて消滅し、残るのはロータリーもどきの、意味不明の、見かけだけの奉仕団体でありましょう。